この時期特に気を付けたい 犬猫の皮膚疾患
~季節の変わり目に潜むトラブルとその対策~
こんにちは!東京都大田区大森のイース動物病院です。春から夏、夏から秋へと季節が移り変わるこの時期、気温や湿度の変化により、犬や猫たちの皮膚にさまざまなトラブルが起こりやすくなります。
「なんだか最近、うちの子がやたらと掻いている気がする…」「毛が抜けて赤くなってる」そんなサインを見逃さないでください。
今回は、特にこの時期に気をつけたい犬猫の皮膚疾患とその対策について詳しく解説します。
皮膚疾患が多くなる理由
この時期に皮膚トラブルが増える理由として、以下のような環境要因があります。
1. 湿度と温度の上昇
梅雨時期や残暑が厳しい初秋には、湿度と気温が高くなり、皮膚が蒸れやすくなります。湿った状態が続くと、細菌やカビ(真菌)が繁殖しやすく、皮膚炎を引き起こします。
2. 抜け毛と毛玉
換毛期には大量の被毛が抜け落ち、毛玉ができやすくなります。毛玉の下に湿気がこもり、皮膚が炎症を起こすことがあります。
3. ノミ・ダニの活発化
暖かい時期はノミやマダニの活動も活発になります。これらの寄生虫によるアレルギー性皮膚炎やかゆみも増加する傾向にあります。
よくある皮膚疾患と症状
以下は、この時期に特に見られやすい皮膚疾患とその症状です。
1. 膿皮症(のうひしょう)
細菌感染によって起こる皮膚炎です。被毛の中に赤いブツブツ(丘疹)や膿をもった発疹が見られ、かゆみを伴うことが多いです。蒸れやすい犬種(フレンチブルドッグ、シーズーなど)は特に注意。
2. マラセチア皮膚炎
皮膚常在の真菌「マラセチア」が増殖して起きる皮膚炎。ベタつき、独特の臭い、皮膚の赤みやかゆみが特徴です。耳の中や指の間、お腹、首元などに出やすいです。
3. ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液に対するアレルギー反応で、背中や腰回り、尾の付け根に激しいかゆみや脱毛が見られます。わずか数匹のノミでも強い症状を起こすことがあります。
4. アトピー性皮膚炎
ハウスダストや花粉などのアレルゲンに反応して起きる皮膚炎。慢性的なかゆみ、耳や顔まわり、脇の下などの皮膚の赤みや乾燥が見られます。
5. カビによる皮膚疾患(皮膚糸状菌症)
真菌が毛包に侵入して炎症を起こす疾患。脱毛、フケ、輪状の病変ができることが多く、**人間にもうつる(人獣共通感染症)**ため注意が必要です。
飼い主さんにできる予防とケア
日々の生活の中で、飼い主さんができる予防と早期発見のためのポイントをご紹介します。
1. 定期的なブラッシングとシャンプー
換毛期は特にブラッシングを丁寧に。余分な毛を取り除き、皮膚の通気性を良くすることで、蒸れや感染のリスクを軽減できます。獣医師の指導のもと、皮膚に合ったシャンプーを使ってケアしましょう。
2. 清潔な環境の維持
寝床やマット、ケージの中など、ペットが長時間過ごす場所は清潔かつ乾燥した状態を保ちましょう。ノミ・ダニ予防の薬も定期的に使うことが大切です。
3. こまめな皮膚チェック
日々のスキンシップの中で「いつもと違うな」と感じるところはありませんか?かゆみ、赤み、臭い、脱毛などを見つけたら、なるべく早めに受診しましょう。
早期発見・早期治療の重要性
皮膚疾患は初期の段階で治療すれば、短期間で回復することが多いですが、放置すると慢性化し、治りにくくなったり、強い薬が必要になったりすることもあります。特にアレルギー性疾患は慢性化しやすく、体質に合わせた長期的な管理が必要です。
病院に行くタイミングは?
以下のような症状がある場合は、自己判断せずに動物病院へ相談してください。
- 掻いても掻いても止まらない
- フケや脱毛が急に増えた
- 皮膚が赤くただれている
- 独特な体臭や皮膚のべたつき
- ノミやダニを見つけた
おわりに:この時期こそ、愛犬・愛猫の皮膚に注目!
皮膚は、健康状態を映す「鏡」のような存在です。この時期は特にトラブルが起きやすいため、日々の観察やケアがとても大切です。
愛犬・愛猫が快適に過ごせるように、皮膚の変化にいち早く気づいてあげましょう。
「なんか気になるかも…」そう思ったときが、受診のサインです。
何もなければ安心できますし、早期発見できれば、わんちゃん・ねこちゃんも苦しまずに済みます。
大田区蒲田、大森で皮膚にお困りの方は大田区大森のイース動物病院にご相談ください。
大切な家族のために、少しの気配りを続けていきましょう。