犬猫にもノミ・ダニアレルギーってあるの??

こんにちは!大田区大森のイース動物病院です。

今回は犬猫の、ノミ・ダニアレルギーについてお話したいと思います。

犬や猫が日常的にかかる皮膚トラブルの一つとして、ノミやダニに対するアレルギー反応が挙げられます。

このアレルギーはペットの健康や生活の質に大きな影響を及ぼし、放置しておくと深刻な皮膚炎や二次感染の原因となります。

ここでは、ノミ・ダニアレルギーの原因、症状、診断方法、そして治療法について医療的な観点から詳しく解説します。

1. ノミ・ダニアレルギーの原因

ノミアレルギー性皮膚炎(Flea Allergy Dermatitis, FAD)は、ノミの唾液に含まれる抗原に対して犬や猫の免疫系が過剰に反応することによって引き起こされます。

ノミが動物の皮膚に刺して吸血する際に唾液を注入しますが、この唾液中に含まれるタンパク質がアレルゲンとして作用し、強いかゆみと炎症を引き起こします。

ダニアレルギーも同様に、ダニが皮膚に寄生した際に放出する唾液や体液、排泄物に含まれる物質に対して免疫反応が起こることが原因です

。特にイヌバエダニやツメダニなどは犬猫の皮膚に寄生しやすく、これらのダニに対するアレルギー反応が皮膚炎を引き起こします。

2. 主な症状

ノミ・ダニアレルギーは、以下のような症状を引き起こします。

  • 強いかゆみ:ペットが激しくかく、かむ、舐める行動が見られます。
  • 皮膚の発赤と炎症:耳、首、腹部、尾の付け根などに赤みが出て、炎症を起こします。
  • 脱毛:かきむしることで被毛が抜けることがあり、部分的な脱毛が見られます。
  • 二次感染:皮膚が傷つくことで細菌や真菌が感染し、膿皮症などの二次的な皮膚炎を引き起こすことがあります。
  • フケや湿疹:皮膚が乾燥してフケが増えたり、湿疹が現れたりすることがあります。

これらの症状は、動物によって異なる場所や程度で現れることがありますが、特にノミアレルギーの場合、尾の付け根や背中、腹部にかゆみと炎症が集中することが多いです。

3. 診断方法

ノミ・ダニアレルギーの診断は、獣医による問診と身体検査が中心となります。具体的には以下の方法で行われます。

  • 皮膚検査:ノミやダニの存在を確認するために、皮膚を直接観察したり、粘着テープを使用して寄生虫を捕まえたりします。
  • 被毛の検査:被毛にノミのフン(黒い粉状のもの)が見られるかどうかを確認します。ノミのフンは湿らせた紙の上に乗せると赤くなるのが特徴です。
  • アレルギー検査:血液検査や皮内テストで、ノミやダニに対する特異的な抗体の存在を確認します。これにより、アレルギーの有無を特定することができます。

4. 治療法

ノミ・ダニアレルギーの治療は、主に以下のような方法で行われます。

(1) ノミ・ダニの駆除

最も基本的な治療は、ノミやダニそのものを駆除することです。ペットには獣医が推奨する駆除薬(フロントライン、アドバンテージなど)を使用します。これらの製品は、ノミやダニを速やかに殺し、その数を減らすのに有効です。また、家の中や外での環境管理も重要であり、家の中のノミやダニを駆除するためのスプレーや粉を使用することが推奨されます。

(2) 抗ヒスタミン薬およびステロイド

かゆみや炎症を緩和するために、抗ヒスタミン薬やステロイドが処方されることがあります。ステロイドは即効性があり、症状を迅速に改善しますが、長期使用には副作用のリスクがあるため、獣医師の指示に従って使用する必要があります。

(3) 免疫療法

アレルゲン特定後に行われる治療法として、免疫療法(アレルゲン特異的免疫療法)があります。この治療法は、少量のアレルゲンを定期的に注射することで、免疫系を「慣れさせ」、過敏反応を減らすことを目的としています。免疫療法は時間がかかるものの、根本的なアレルギーの改善を目指すために有効です。

(4) オメガ-3脂肪酸の補給

オメガ-3脂肪酸は抗炎症作用を持ち、皮膚の健康をサポートします。アレルギー症状の軽減を目指して、サプリメントとして与えることが推奨されます。

5. 予防と管理

ノミ・ダニアレルギーを予防するためには、日常的なケアが重要です。定期的なブラッシングや皮膚のチェックを行い、異常がないかを確認します。また、予防薬を月に一度使用することで、ノミやダニの寄生を防ぎます。さらに、室内の掃除や寝具の洗濯など、環境の清潔を保つことも重要です。

まとめ

ノミ・ダニアレルギーは、犬猫の生活の質を大きく左右する問題です。早期に発見し、適切な治療と予防を行うことで、ペットの健康を守ることができます。アレルギー症状を感じたら、早めに獣医師に相談し、最適な治療法を選択することが大切です。