歯周病は万病のもと?
お口の臭い、なんかクサイ、、、、、
それは歯周病かもしれません。
歯周病は2歳までの犬では80%、猫では70%で何らかの兆候を認めると言われています。
犬と猫の歯周病は、口腔内の健康を損なう重大な疾患で、放置すると深刻な健康問題を引き起こすことがあります。口臭や口腔内トラブルだけではなく、さまざまな臓器に悪影響を及ぼすことがあることがわかってきました。
歯周病菌や菌体毒素が、歯肉の溝から血管に入り込んで全身をめぐり、肝臓、腎臓、心臓などにたどり着いて炎症を起こすのです。
人の歯周病は世界で最も蔓延している病気として、2001年にギネス世界記録に認定されており、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、関節リウマチ、がん、腎臓病など多くの全身疾患のリスクを高めることが知られています。
犬においても肝実質の炎症や門脈線維症、慢性腎臓病(犬猫)、糸球体腎炎、僧帽弁閉鎖不全症、心内膜炎などでの歯周病の関連性が報告されています。
今回は万病のもととなりうる、歯周病についてお伝えしたいと思います。
歯周病の概要
歯周病は、歯を支える組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨)に影響を及ぼす感染症です。初期段階の歯肉炎から始まり、治療しないと歯周炎へと進行します。歯周炎は、歯を支える骨が破壊され、最終的には歯の脱落を引き起こすことがあります。
症状
口臭:
歯周病の初期サインとして、口臭が強くなることがあります。これは口腔内の細菌が原因です。
歯茎の赤みや腫れ:
歯肉が赤く腫れ、触れると出血しやすくなります。
歯の動揺や脱落:
重度の歯周病では、歯がぐらつき、最終的には抜け落ちます。
食欲不振や痛み:
歯周病が進行すると、食事時に痛みが生じ、食欲が減退することがあります。
よだれ:
過剰なよだれも、歯周病のサインの一つです。
原因
歯周病の主な原因は、歯垢と歯石の蓄積です。これらは口腔内の細菌によって形成され、歯肉炎を引き起こし、最終的には歯周病に進行します。さらに、適切な口腔ケアが不足していると、歯垢と歯石が蓄積しやすくなります。遺伝的要因や食事の内容も歯周病のリスクを高めます。
診断
歯周病の診断は、獣医師による視覚的な検査と口腔内X線撮影によって行われます。X線は、歯の下の骨の状態を確認し、歯周病の進行度を評価するために重要です。
治療
1. 歯垢と歯石の除去
専門的なクリーニング: 麻酔下で行われ、歯の表面と歯周ポケット内の歯垢や歯石を除去します。
2. 抗生物質
細菌感染を抑えるために、抗生物質が処方されることがあります。これは特に歯周病が重度で、感染が広がっている場合に有効です。
3. 歯肉の治療
重度の歯周病では、歯肉の切除や再生手術が必要になることがあります。これは、歯周ポケットの深さを減らし、歯肉の健康を回復させるためです。
4. 抜歯
保存が難しい歯や、感染が広がっている歯は、抜歯が必要になることがあります。これは、他の歯や口腔全体の健康を守るためです。
予防
1. 定期的な歯磨き:
ペット用の歯ブラシと歯磨き粉を使用して、少なくとも週に数回歯を磨くことが推奨されます。日々の歯磨きは歯垢の蓄積を防ぎ、歯周病のリスクを減少させます。
2. 歯科用おもちゃと噛むガム
これらは歯垢の蓄積を減らすのに役立ちます。噛むことで歯の表面が磨かれ、歯垢の形成が抑えられます。
3. 定期的な歯科検診
獣医師による定期的な歯科検診とクリーニングは、歯周病の早期発見と予防に重要です。年に一度は歯科検診を受けることをお勧めします。
4. バランスの取れた食事
歯の健康を維持するために、適切な栄養を含む食事を提供することが大切です。歯石予防のドライフードなども販売されており、歯の表面を自然に磨く効果があります。
まとめ
犬と猫の歯周病は、適切な予防と早期治療が重要です。飼い主としては、日々の口腔ケアと定期的な獣医師のチェックを怠らないようにし、ペットの口腔内健康を維持するために努めることが大切です。これにより、ペットの全身の健康を守り、長く健康な生活を送ることができます。