こんにちは、大田区大森イース動物病院です。

猫ちゃんに歯磨きはできていますか?もしできていたら、本当に素晴らしいです!しかし、私の経験では、猫に歯磨きをできる飼い主さんはわずか5%ほどです。100人中5人くらいでしょうか。猫の歯磨きは難しいことですが、猫の歯のケアはとても重要です。

そこで、猫の歯のケアで一番大切なことをお伝えします。それは、歯磨きやケアの有無にかかわらず、少なくとも5~7歳くらいになったら一度全身麻酔でスケーリングを行い、必要なら悪い歯を抜くことです。歯磨きやケアを続けることで、将来抜かなければならない歯の数を減らせるのです。

歯周病とは?

まず、歯周病について知っておくことが大切です。猫の口内には常在菌が存在し、これが外部からの病原菌から守ってくれています。しかし、常在菌の中には悪玉菌も含まれており、これが歯茎に炎症を引き起こすと、歯周病が始まります。最終的には、歯を支える歯槽骨が溶け、歯がぐらつくようになってしまいます。

歯周病には段階があります。最初は歯茎に炎症が起こり、次に歯周ポケットが形成されます。歯周ポケットは細菌の温床で、猫の口臭が気になるようになるかもしれません。さらに進行すると、歯槽骨が溶け、歯が抜け落ちることになります。

また、猫特有の「吸収病巣」という病気もあります。これは歯そのものが溶ける病気で、神経が剝き出しになり痛みを伴うこともあります。吸収病巣は10頭中3頭程度に見られるとされています。

歯のケアが重要な理由

歯周病や吸収病巣が悪化すると、猫は痛みで食事ができなくなったり、鼻水が出続けたりすることがあります。特に高齢になると、腎臓病や心臓病などのリスクも高まり、全身麻酔が難しくなることがあります。そのため、若いうちから歯のケアをして、歯の健康を保つことが大切です。

猫の歯のケア方法

猫の歯のケアで最も重要なのは、全身麻酔によるスケーリングと抜歯です。スケーリングで歯石や歯垢を取り除き、悪さをする歯を抜くことで、猫の口内環境を整えることができます。

また、歯磨きも理想的なケア方法です。歯磨きは歯垢を取り除き、口内の悪玉菌を減らす効果があります。できれば毎日、少なくとも3日に一度は歯磨きを行うことが望ましいです。

歯磨きが難しい場合は、歯磨きシートや歯磨きおやつ、歯のサプリメントを使う方法もあります。これらは完璧な解決策ではありませんが、何もしないよりははるかに良いです。

歯磨きのやり方

猫に歯磨きを習慣づけるのは難しいですが、不可能ではありません。まずは、猫の口を触れることに慣れさせましょう。顔や歯に触れることができるようになったら、徐々に歯ブラシを使ってタッチする練習をします。猫が嫌がる前にやめることが大切で、ポジティブな体験で終わらせるようにしましょう。

まとめ

猫の歯の健康は、その寿命にも直結すると考えています。歯のケアをしっかりと行い、全身麻酔でスケーリングを定期的に受けることで、猫ちゃんの健康寿命を延ばすことができます。

以上、猫の歯のケアについてお話ししました。ぜひ、この記事を参考にして、猫ちゃんの歯を健康に保ちましょう。